生実郷絵図 1870(明治3)年1月11日 (大巌寺町小池博家旧蔵 浜野町宍倉輝吉氏所蔵)
大巌寺51世代役者慈忍と村役人が立ちあって作成した本図では、幕府朱印状で認定された、
「朱印田」を薄柿色「朱印地畑」を薄緑色で、寺の周囲を囲むかたちで表現している。
又その内側にはこれと区別して「境内畑」「境内沼地」「境内山林」が描き分かれている。この
境内にはまた、集落の描写が3か所にみられる。東側から時計回りに、上門前.中門前.
下門前である。そしてこれらの門前の家々は、寺の臨時夫人足を勤め、寺から地代を免除されて
いた。さらに、これらの最も中心に、塀と建物に囲まれた形で、境内の中でも特に「囲内」と呼ばれる
領域があり、寺の本堂が位置している。このように朱印地.境内囲外.境内囲内の3重構造として
表現されているのである。

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